アメとムチ

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2年も出勤しないと最初からわかっていたら色々やってみたいことがあったのに、と今更ながら思ったりする。

まずは坊主にしてみたかった。一度ツルツルにしたら頭皮環境もよくなって質のよい髪が生えてくるのではないかという期待(以前書いたカルキたっぷり水道水のせいで頭は常にかゆくて髪の毛はゴワゴワ・・)と単なる手間・時間の節約のため。

あとは通勤時間を節約した分習い事でもすればよかったかも。寛大な相手の理解力任せな言語たちを少しは自分で磨いてみるとか、お裁縫を本格的に習って服はすべて手作りできるようにするとか、和食の基礎を習ってついエキゾチックになりがちなワタシの料理を外国人の友人たちに胸を張って振る舞えるレベルにするとか。

いっそのこと田舎の方に引っ越すのもよかったかもしれない。家賃が安く大きなバルコニーや庭まであればホームオフィス生活ももっと快適に過ごせたのではないかと思う。

まぁどれもあとの祭りだし、実際には何度も再出勤の可能性があったので先が読めなかったのが現実。

そんな中チャレンジしたことも少なからずある、その一つが断食。食べない断食ではなく、肌断食。2021年3月に始めたのでまる1年が経過した。結果からいうと大満足。

なぜ始めようと思ったのかって、それはケアしてない殿方の肌が美しいと思ったから。というより時間とお金をかけてケアしているワタシの肌は彼らと比べてとびきり美しいかというとそうでもない気がした。だとしたらこの時間とお金は必要なのか、と疑問に思った。

実際に何をしたかって、というかしなかったかというと。とにかく朝は顔を水か石鹸で洗うだけ、日中は日焼け止めをつけ、夜は朝と同じ洗顔。とにかく何もしないし付けない。

最初は毛穴の汚れでギトギトゴワゴワした感じが不快で仕方がないし、乾燥したのをほおっておくとシワになりそうでこわかったけど、しばら~く我慢するとそれほど不快でなくなりあまり乾燥もしなくなったし確実に毛穴が小さくなった。角栓は気づくとひとりでにポロポロ落ちてきて、押し出したり吸い出したり削り取ったりしていた努力はなんだったのだろうかと思った。

米国P&G社の”アイボリー石鹸”。遠い昔女子高生のころ、お肌のキレイな先生が美肌の秘訣はこの石鹸と言っていたのを聞いて急いで買いに行きそれ以来長らく愛用していた。
時は流れ色々浮気しすっかり忘れていたけどこの肌断食でふと思い出し久しぶりに使ってみたいと探すもこちらでは見つからずガッカリしていたら日本の友人がわざわざ送ってくれた。他にも純度が高くて肌に優しい石鹸たくさんあると思うけど懐かしのこの生姜みたいな香りとさっぱりした洗い上がりがやっぱり好きだわ~。

何より嬉しいのは時間が全くかからない。たぶん世の中のおじさまたちと身支度の所要時間がほぼ変わらない自信がある。

そして旅行に行くとき石鹸一つ持っていけばいいという手軽さ。欧州内は機内持ち込み液体が1Lに限られているので、自分の化粧水やらクリームなんかがなければ愛猫と旅行するワタシは彼の薬やウェットフードなどをたくさん詰め込める。

家の洗面所もゴチャゴチャしないしね。

そんな身軽で爽快な気分であっという間に1年経過。最近『これっていつまで続ければいいんだろう・・』とちょっと疑問に思ったのと同時に、『そろそろ栄養を与えてもいいのではないか・・』と思ったので余っていた美容液を塗ってみたところ、待ってましたとばかりに全栄養吸収でお肌ツヤツヤ。昔はてんこもり必要だったニベアも少量で保湿バッチリ。

独生まれのニベア。幼い頃に使って以来お世話になることがなかったあの独特な香りの真っ白なクリーム。独に来てからハンブルクで路面店を見つけて初めて発祥の地だということを知った。100年以上こんな寒い場所に住む人々の肌を守ってるってスゴイ!と単純に関心。お財布にもとっても優しいのが嬉しい。

要は甘やかしすぎだったってことね。ワタシがなんでも与えるから肌は自分で働かなくなって「もっとくれ~もっといいものくれ~」って怠惰になってたということ。1年厳しく接したらすっかり働き者になったうえ与えたご褒美に感謝するようになったので、このちょうどよいアメとムチの状態をキープしていきたいと思う。

人間と同じね、何でもやってもらうのが当たり前になっちゃうと自分でできなくなっちゃう。心優しい友人たちの手助けに感謝しつつもできるだけなんでも自分のことは自分でする自立したおばあさんにならなければと肝に銘じる。

cipollina

愛猫と欧州暮らし。 好きなものは動植物・日光浴・旅・ドキュメンタリー鑑賞・健康的な食事+甘いもの・自分らしいオシャレ。 トレードマークは自前の短髪。 Multiculti(多文化)な日常生活の中で見つけた発見や気付きを思うがままに書いています。

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