hotel
とにかく清潔で光が差し込む窓さえあればどんなに小さくても大した設備がなくてもいい。どうせ寝るだけだからアクセス良好、治安がよければ問題なし。というのは旅するワタシのホテル選びの基準。
でも長居するとなれば、マットレスはもう少し固くて布団はふわふわな方がいいとかあまり騒がしくない方がいいとか、もう少し快適に暮らしたいと思う。
それは虫たちも同じ。
というわけでコレ↓通称“虫ホテル”のご紹介。
木材やレンガなんかの枠組みの中に葉っぱや藁、木の皮や小枝、松ぼっくりなど様々な素材や形状のものを詰め込んだもので、様々な虫たちが住んだり越冬するためのお部屋。
虫の種類によって部屋の好みも様々らしい。南向きで日当たり良好なのが好きな子、美白命で日陰が好きな子、部屋は狭い方が落ち着く子もいれば相部屋で賑やかなのが好きな子もいる。
雨が当たらないのはもちろんのこと、カビが生えたり腐ってしまわないようメンテナンスも重要なんですって、ほんと我々のホテルと同じ。
これが何なのか知らなかった時は、公園や住宅の庭先で見かけても『ドイツ人はこういうアートが好みなのか』とオブジェだと思って素通りしていた。ある時一緒に散歩していた友人から虫ホテルだと聞いてビックリ。『虫にホテルが必要なのか・・?』
このホテルに様々な虫が来てくれれば害虫を益虫が食べてくれたり、蝶も蜂も来てくれれば花粉を運んでくれたり、さらに虫を食べる鳥もやって来て植物の種を媒介してくれるから結果的に生態系が豊かになり、最終的に我々は美しい花々や豊かに実った果実などの恩恵を受けることができる、という仕組み。
逆にいうと森を壊して街を作ることで虫たちの住処を壊し、殺虫剤を使ってガーデニングや農業を行うことであらゆる虫を駆除して生態系を壊すことは自分たちの未来の暮らしを脅かしているということね。
高級カブトムシとかラッキーシンボルてんとう虫を除いて基本的に嫌われ者の虫たち、気持ち悪いというだけでなく、せっかく育てた花や野菜を食べてしまったり、時には大切にしまっていた服まで食べてしまったり、確かに「やっつけてやる!」って気持ちになるけど、彼らがみんないなくなってしまったら我々は生きていけないということ。
雑貨屋さんや花屋さんにも家庭用の小さなものが売られている。
ちなみにドイツの夏の定番といえばスズメバチ。ピクニックでお弁当を広げれば待ってましたとばかり大群が現れ、テラスでビールやジュースを頼むと自分が口をつけるより先にグラスに飛び込み、パン屋の菓子パンの上で美味しそうに砂糖を頬張っている彼ら。憎しみこめて思わず“バチン!”とやりたくなるけどぐっと我慢して!巡り巡ってしっぺ返しが来る前に罰金刑になるから。最高で50,000ユーロですって・・😱
とにもかくにも虫の命も大切ということ。
すべての虫を愛せるほど心が広くないけど、雑誌を丸めて振り上げる前に『彼らのおかげで我々がいる』とせめて思い出すようにしようと思う。