日本の‘洋式’
ケーキって普通小さめのフォークで食べるでしょ。日本ではずっとそうしていたしそれが‘正解’なんだと思ってた、フランスに来るまでは。
仏ではよっぽど大きくてナイフ&フォークの必要がある時以外ケーキ類はスプーンで食べる。テクスチャーがシットリでもカリカリでも固くても柔らかくてもスプーンを使う。最初はとても違和感があったけど慣れてしまうとポロポロしたものまできれいに拾えて便利なので今ではすっかりスプーン派。
こちらにいると日本で’洋式‘とされているものは一体どこの国から伝わったのだろうと思うことがある。割とフォーマルなものは英国から、家庭内のより生活に密着したことは戦後米国から取り入れたものが多いのかな。。料理自体は仏からたくさん学んだはずなのに、食習慣に関してはそうでもない気がする。。
普段の朝食はバゲットにバター&ジャムを塗ったものとカフェオレ、決して卵にチーズにベーコンなど食べることはないし、チーズはおしゃれなおつまみか前菜という立ち位置ではなくデザートとして食べる。カフェオレも通常朝に飲む物で午後やましてや夜なんかに飲む人は見たことがない。伊のカプチーノも然り。
そういえば高校時代に結婚式場でテーブルマナーの課外授業があったのを思い出す。例えばスープの食べ方やカトラリーの使い方など英仏式でマナーが異なり、日本の皇室晩餐会は英式で日本で一般的なのも英式だと聞き、幼心に『フレンチレストランに行った場合も堂々と英式でいいのだろうか・・それとも仏式にしなくてはならないのだろうか・・』と疑問に思ったのを覚えている。
あれから数十年。行き着いた答えは、結局大切なのは他人に不快な思いをさせず料理を楽しむ気遣いで、最低限のマナーさえ心得ていればスープを英式に手前側からすくっても仏式に向こう側からすくっても大した問題ではないし、不安ならばその席で一番エレガントな人のマネをすればいいということ。
で、話を戻してケーキ。英では確かにフォークが出てくる気がするし、そういえば独もフォーク。しかもケーキにグサッと刺さって運ばれてきたりするけど悪意や殺意があるわけではないのであしからず。
ケーキ皿を運ぶ時フォークが転げ落ちなくて便利だっていう合理的なドイツ人らしい発想。
色んなものを取り入れる日本もさすがに’グサッ‘は輸入しなかったのね。